2015年9月16日水曜日

挨拶



今年のスローガンは『医学生物領域の“汎用魚型実験材料”を目指せ!』に設定しました。近年、高速シークエンサー技術やゲノム編集技術の発展で、いわゆるモデル動物以外のどんな珍獣でも「ゲノムが読める」「遺伝子がいじくれる」時代がやってきました。
では、我らが伝統のメダカ・ゼブラフィッシュは「数多ある実験動物のひとつ」の埋もれてしまうのでしょうか?
いや、無い。そんなことは断じて無い! 我らが愛する小型魚類には、先人が培ったリソースがある、研鑽の末のノウハウがある、領域を裾野から支える膨大かつ多様な人材がある!
そんな小型魚類が、この先のサイエンス界でトップランナーであり続けるための戦略について大いに議論したいと考え、本会では2つの特別企画を設置しました。
(1)基調講演「システムズ薬理学とゼブラフィッシュ創薬」
(2)特別セッション「ゲノムデータベース/ゲノム編集」
1日目の基調講演には三重大学の田中利男先生をお招きして、システムズ薬理学の視点から高度にシステム化されたゼブラフィッシュを用いた創薬スクリーニングシステムについてご講演を賜ります。
2日目の特別セッションでは、『ゲノムデータベース』に関して基生研の成瀬先生をお呼びして、最近大幅にアップデートされたメダカゲノムデータベースのお話を、『ゲノム編集』に関してはゼブラフィッシュおよびメダカのトップランナー3名による、最先端の改変技術と活用の実例を紹介して頂きます。
各セッションは一般口頭発表とは独立し、座長が強力なリーダーシップをもって進行します。素人質問、実務的な提案や相談など、ざっくばらんな空気の中で、これからの小型魚類界について実践的な議論を交わせる場を提供いたします。特に、これから小型魚類を用いて研究を進める学生さんによる積極的な参加を期待しています。 
その他にも例年通り、口頭発表&ポスター発表で最新の研究成果、業界の動向について議論する場も準備いたします。

さらに、今回、初めての試みとして本会の翌日にサテライトシンポジウムを開催します。9月のシルバーウィーク連休を本研究会で始める研究大好きな皆様には、続けてサテライトシンポジウム『萌える生物学』へもご参加いただきたいと思います。本研究会の参加者は、無料で参加できます。小型魚類研究で培われた技術力とノウハウの蓄積を珍獣研究者に見せつけてください。また、逆に珍獣研究者の視点を小型魚類研究に持ち込んでください。相互の研究者の交流により、きっと新しいパラダイムが開けるはずです。

最後に、本研究会は他の世話人の皆様、プログラム委員の皆様のご協力により無事開催することができました。ありがとうございます。また、協賛してくださったスポンサーの方々にも大変感謝いたします。

Chair of the organizing committee of 21st JMZM
出口 友則

0 件のコメント:

コメントを投稿